ABCマートの環境・社会に関する取り組み、およびコーポレート・ガバナンスに関する情報を紹介します。
当社グループは、世界的な平均気温4℃上昇による気候変動が社会経済活動に及ぼす影響は甚大であると認識し、気温上昇を1.5℃以下に抑制することを目指す動きに貢献していくことが重要であると考えます。
これらの気候変動への対応を強化するため、4℃シナリオ及び1.5℃シナリオに基づくシナリオ分析を実施しております。
当社グループは、以下のプロセスを踏まえ、気候関連リスク・機会の特定を⾏いました。これに基づきシナリオを定義し、2030 年度の財務影響を測定いたしました。
Step 1 | リスク・機会の特定 | 幅広く抽出した気候関連リスク・機会の中から、想定される事業影響の⼤きさに基づいて、重要度の⾼いリスク・機会を特定 |
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Step 2 | シナリオの定義 | 特定したリスク・機会に関連するパラメータの将来情報を⼊⼿し、シナリオを定義 |
Step 3 | 財務影響の把握 | 定義したシナリオにおける、リスク・機会に関する2030年度の財務影響を測定 |
Step 4 | 対応策の検討 | 把握した財務影響に基づき、リスクの軽減や機会の獲得のための対応策を検討 |
対象事業 | 靴、⾐料、雑貨などの⼩売、靴の商品企画、製造及び販売 | |
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参照した主な シナリオ |
4℃ | IPCC RCP8.5、IEA WEO STEPS |
1.5℃ | IPCC RCP1.9、IEA WEO NZE | |
時間軸 | 短期:1 年未満 中期:1〜10 年未満 ⻑期:10〜30 年 | |
財務影響 | ⼩:10 億円未満 中:10〜100 億円未満 ⼤:100 億円以上 |
シナリオ | 分類 | 想 定 | 事業への影響 | 顕在 時期 |
財務 影響 |
主な対応策 |
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1.5℃ | 政策 ・ 法規制 |
炭素税・排出量 取引制度の 新設・厳格化 |
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中〜⻑期 | ⼤ |
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リサイクル規制の 厳格化 |
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中〜⻑期 | ⼤ |
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市場 | お客様の気候変動 課題意識の向上 |
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中〜⻑期 | 中 |
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⼩売電⼒価格の 上昇 |
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中〜⻑期 | 中 |
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4℃ | 物理 (急性) |
⾃然災害 ・ 異常気象の激甚化 |
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中〜⻑期 | ⼤ |
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物理 (慢性) |
平均気温の上昇に よる感染症の増加 |
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中〜⻑期 | 大 |
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ブーツなどの 冬季製品を 使⽤する 頻度の減少 |
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中〜⻑期 | ⼩ |
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シナリオ | 分類 | 想定 | 事業への影響 | 顕在 時期 | 財務 影響 | 対応策 |
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1.5℃ | 資源効率/ エネルギー源 |
エネルギー 効率性の向上や 低炭素エネルギーの使⽤ |
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中〜⻑期 | ⼩ |
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製品とサービス | サステナブルな 商品を志向する お客様の増加 |
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中〜⻑期 | ⼤ |
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4℃ | 製品と サービス |
サンダルなどの 夏季製品を 使⽤する頻度の 増加 |
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中〜⻑期 | ⼩ |
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当社グループは、把握した財務影響に基づき、リスクの軽減や機会の獲得のための対応策を検討しております。
当社グループでは、ナショナルブランドの環境に配慮した商品を数多く扱っており、例えば、サステナブルな手法で綿花栽培を行ったコットン100%のTシャツや靴のアッパーに50%以上のリサイクル素材を使用したスニーカー等の品揃えを拡充しております。メーカー各社様と共同で開発しているABC-MART限定商品においても、サステナブルな素材を用いて開発された商品が多くあります。
なお、これらリサイクル素材を用いた商品の製造コストは通常よりも非常に高く、販売価格に影響をもたらします。そのため、環境に配慮した商品に対するお客様のニーズと購買価格帯を見極めながら、商品開発を⾏っております。
当社グループは、海外の生産委託工場で、靴の生産を行っております。
当社グループのサプライチェーンの管理体制としては、全ての工場に対し、取引の基本条件として工場監査を義務づけております。品質基準、価格、法令遵守、労務管理、人権保護、環境への配慮などが工場選考基準となっております。BSCI、DTI、FLA、SA8000、WRAP、SLCP、SCANなどを推奨監査プログラムとして採用しており、半年から1年の周期で定期的に工場監査を実施しております。全ての評価項目が適正水準に達していることが取引開始(更新)の前提条件としております。
(a) 電気使用量の削減
当社グループ(当社単体及び韓国・⽶国・台湾の在外⼦会社3社)の2023 年度の年間電気使⽤量は106,492 千kWh でCO2 排出量は48,278 トンでした。Scope1及びScope2のCO2 排出量は51,177 トンとなります。
当社は、2027年までに全店舗の照明をLEDに替え、省エネルギーの推進を図ります。2023年2月末時点において、非対応の店舗は1,074店舗中412店舗であり、2027年までの間に段階を踏んで対応していく計画です。5年間のLEDに係る投資総額は、12億30百万円と想定しており、1店舗当たりの投資回収期間はおよそ4年となります。非対応店舗全店の節電効果は、概算で年間4億円程度と試算しております。
(b) 環境に配慮した内装材等の使用
国内の店舗戦略においては、年間40店舗の新規出店、40店舗の改装をベースとした出店を計画しております。土地・建物の取得を除いた店舗造作に係る年間の設備投資総額はおよそ35億から40億円ほどとなります。現在、環境に配慮した内装材の使用を検討しております。資源高や円安の影響により内装材も高騰していることから、コストパフォーマンスを考慮しながら、計画が実現できるように進めてまいります。
当社グループでは、2021年10月より、石油由来のポリエチレン製ショップバッグを廃止し、植物由来のボタニカルインキを使用した再生紙のショップバッグとリサイクルポリエチレン製ショップバッグを全店で使用しております。2022年2月期において、出荷ベースで、1,738万枚のうち紙袋の使用は38.4%でしたが、2023年2月期においては、出荷ベースで2,089万枚のうち紙袋の使用を77.3%に高めた結果、CO2排出量をおよそ3トン削減することができました。
当社グループの考えるロスには、商品がないことによる『販売機会のロス』と『在庫のロス』があります。
コロナ禍、積極的なIT投資によりデジタル基幹システムの構築とオムニチャネル戦略の強化を行ってまいりました。店舗において倉庫在庫の販売が直接できるようになり、またオンライン販売においては店舗での商品受け取りが可能となり、欠品時の販売機会のロスが低減できるようになりました。さらにスマホアプリによる自店在庫の見える化により、お客様の利便性が増したことに加え、生産性の向上による売上拡大と業務効率の改善による人件費の圧縮が可能となりました。
次の目標としては、将来の在庫処分をうまないために、売上分析に基づき、需要のある地域に適切な分量の商品を供給し、販売していく仕組みをつくることにあります。滞留商品については、地域の拠点となる大型店舗やアウトレット店に商品を集約することで、在庫の消化を促進する取り組みも行ってまいります。さらに、外部での販売会や催事などを企画し、徹底して売り切る体制を整えてまいります。このようにして、長期滞留在庫(使用不可商品を除く。)の廃棄ゼロを目指します。
シナリオ分析の結果は、当社グループの経営戦略へ反映するとともに、対応策の実⾏や進捗状況のモニタリングを⾏います。
また、今後も定期的にシナリオ分析を⾏い、リスク・機会の⾒直しを実施してまいります。
(単位:t-CO2)
区分 | 2023 年度 |
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Scope 1 | 122 |
Scope 2 (マーケット基準) | 51,054 |
(注)1 集計対象範囲:Scope1, 2:連結対象4 社(株式会社エービーシー・マート、ABC MART KOREA、LaCrosse Footwear、ABC MART TAIWAN)
2 排出係数の出典:
区分 | 排出係数の出典 |
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Scope 1 |
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Scope 2 (マーケット基準) |
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